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遺産分割前の相続預金の払戻し制度
2021.10.29
幣所ホームページをご覧いただきありがとうございます。
今回は、ちょっとためになる小話をいたします。
既にご存知の方も多いと思いますが、平成29年(2017年)に民法が大幅に改正されまいた。
これにより社会の様々な仕組みが変わります(というよりも社会の仕組みに合致するように法改正されたと言えます)。
その一つとして、タイトルにもあります「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」が創設されました。
従来は、金融機関は、口座名義人が死亡したことを知るとその口座からの出金を一切止めてしまい、これを解除するには、遺言書による執行か、法定相続人全員による遺産分割協議書の作成するなどの限定的な方法しかありませんでした。
ただ、それでは相続人間で話し合いがつかず、遺産分割でもめているといつまでも故人の口座のお金を使えず、遺族が金銭的に困窮するという事態が生じてしまいます。
そこで、民法909条の2が新設され、遺産分割の前でも相続財産の払戻しが可能となりました。
ただ、出金できる範囲は限定的です。預金額の1/3に法定相続分を乗じた額で、上限150万円という制限があります。
例えば、相続人が故人の配偶者、子2人という事案では、子の法定相続分は1/4ですので、
「預金額×1/3×1/4」(上限150万円)の範囲でしか、出金できません。
それでも、法改正前では全く出金できなかったわけですので、大きな進歩と言えます。
この制度は、2019年7月から施行されています。
遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内チラシ (zenginkyo.or.jp)
お読みいただきありがとうございました。
一歩法律事務所
弁護士 南 陽輔