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予防法務のコスパの良さについて

2021.10.7

予防法務のコスパの良さについて

幣所ホームページをご覧いただきありがとうございます。

 さて、今回は、予防法務のコストパフォーマンスの良さについて、お話しします。

予防法務は、法的紛争が発生することを予め防止するものです。予防法務の典型的な場面としては、契約締結前のリーガルチェックが挙げられます。

例えば、契約書の内容に違約金条項として、「Aが発生した場合には違約金として金200万円支払うものとする」という条項があったとします。

 この条項について何もリーガルチェックをせずに契約締結し、契約締結後しばらくしてAという事象が発生したと仮定します。この場合、相手方は、契約書の文言通り、違約金200万円支払うよう求めてくるでしょう。しかし、こちらとしても主張したいことがあり、違約金を支払いたくないし、支払う必要ないと考えています。

 違約金200万円に関して、相手方との交渉を弁護士に依頼した場合、どれくらいの費用がかかるかをシミュレーションしてみます。現在、弁護士報酬は各法律事務所で自由に設定することができますが、多くの法律事務所では、旧日弁連報酬基準をもとに料金設定しています。旧日弁連報酬基準では、経済的利益300万円以下の事案での訴訟事件の着手金を「経済的利益の8%(最低額10万円)」、報酬を「経済的利益の16%」としていて、示談交渉においても同基準に準じるものとしています。違約金200万円の事例で考えると、弁護士費用として着手金16万円(200万円×8%)がかかります。また、仮に交渉の結果、違約金の請求を取り下げてもらったとすると、弁護士報酬が32万円(200万円×16%)かかります。つまり、違約金200万円の事案を弁護士に依頼すると、仮に支払いを免れたとしても、着手金と報酬で約50万円が必要となります。法律事務所によって報酬基準が異なりますので、一概には言えませんが、おおよそこれくらいの弁護士費用がかかってしまします。

 しかし、予防法務で契約書のリーガルチェックを受けた場合、これも各法律事務所によって異なりますが、数万円程度で済むでしょう。ちなみに、幣所(一歩法律事務所)では、リーガルチェックを2~3万円でお受けしています。契約締結前のリーガルチェックで「Aが発生した場合」というのは不明確なのでもっと具体的に限定してはどうかなどの助言をもらい、相手方と契約前に交渉して、「Aが発生した場合」を「A+B+Cという条件が発生した場合」等とより具体的にして契約締結できれば、違約金請求を受けずに済む可能性があります。

 単純に弁護士費用だけを比較すると、紛争発生後に依頼した場合には着手金・報酬で合計約50万円必要となるものが、事前のリーガルチェックを受けることで、3万円程度で済ませられるということになります。

 このように予防法務を実践しておくことは、実はとてもコストパフォーマンスが良いと言えます。ただ、もちろん、リーガルチェックを受けたからといってあらゆる法的紛争を未然に防止できるわけではありません。事後的にトラブルになるリスクを減らすもの、または、起こりうるリスクを認識しておくためのものとご理解いただけますと幸いです。 

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